ホイール補修費用についての考え方(部分塗装と全体塗装)

少し込み入った話題になるので気になる方のみ読んでください~




ホイールの補修方法は同じホイールの傷でも施工者によって違いがあります。

補修工程も使う研磨器具、材料も、塗料も人によって選択は違うでしょう。



非常に大きく修理方法を2つに分類すると傷に対して

①部分塗装(カラー塗装、クリア塗装共に)で直すのか?
②全面塗装(カラー塗装部分塗装、クリア塗装全面塗装)で直すのか?があります。

※どちらの修理方法も基本的にカラーは傷範囲よりは広く塗ることにはなりますが無意味に全面には塗らず傷周囲へのぼかし塗装です。ホイールはボディの様にカラーコード(調色レシピ)が公開されていませんので色の差をできるだけ広げない方が良いです。

色は結局傷の周囲しか基本的に塗りませんので、部分塗装だから色の差が出ない、全面塗装だから色の差が出るという話ではありません。

全面塗装だから修理していない他のホイールと色の差が出るというのはただ調色が上手くいっていないのに無意味に塗り広げたからです。




図にするとこんな具合です。

部分塗装と全面塗装の図




正直多くのケースできれいに見えるのはコストはかかりますがクリア塗装全面塗装だと思います。


ですがホイールリペアは小さい傷でもご依頼があります。
費用対効果を考えると部分塗装での直し方も必要な場面も多いです。

(例)傷が小範囲の場合下地を作った上にカラー塗装を施しクリア塗装も傷周辺にぼかす(全面塗らない)




ホイールの色にもよりますが、散らしたクリア塗装はしっかり規定の熱乾燥(使うクリア塗料によりますが60℃に昇温した後40分から60分程度保持)を加えしっかり常温に戻した後磨き上げることで目立たなくなります。

※メタリック無しの黒系や黒に近いガンメタ等の濃色のホイールは散らした透明なクリア塗装が白っぽく見えがちですので細かい見た目を本当に気にするのであればごく小さい傷でも全面クリア塗装の方が良いです。

部分塗装ではざっくり傷の範囲でいうとホイール1/4周、物により1/3周くらいまであれば私の感覚ではきれいに直ると思っています。

※ホイールの種類、色、形状、傷のつき方や程度にもよります





全周等広範囲に渡る傷や広い範囲の傷を無理やり部分塗装で直すこともできますが、ぼかしたクリア塗装によりホイールのスポーク内側等はざらざらになるでしょう。マスキングで切れば変な位置に線が出たり・・・
ざらざらを磨いて戻すことは可能ではありますが、それなら最初から足付けしてクリア塗装全面塗装のほうが圧倒的に質が良いです。


基本的に広い範囲の傷に対してはおもて面全面クリア塗装が良いと思います。



ではなぜクリア塗装全面塗装にコストがかかるのか?についてです。


塗料を塗るためには「足付け」と呼ばれる塗料で消える程度の薄傷をつけて密着性を上げる処置が必ず必要になります。


つまりクリア塗装を全面塗装する場合は当然クリア塗装で消える程度の薄傷(水に濡れて消える程度)をホイールの入り組んだ箇所も含め内側を除くおもて面全面につけて塗装する必要があり、労力、時間がかかります。当然固着した鉄粉の除去、コーティングの除去、脱脂もちゃんとやろうとすれば大変な手間です。

高価なクリア塗料の消費量も傷の程度やホイールの大きさにより5倍程度~かと思います。

手間と時間がかかり、材料費も高いためリペア費用も当然上がります。

例えば19インチ程度の傷つきホイールを車両から外して適切な下処理、足付け、正しいマスキングをして傷修正、カラー塗装部分塗装、クリア塗装全面塗装をしたら1本で3万円近辺以上のコストはかかるでしょう。




形状が複雑であればあるほど下処理の手間は増えていきます。





車のボンネットのちょっとした傷を板金塗装に出すとしたら私調べですが1枚塗りで6万円近辺程度かかるようです(これは特段高級な店の価格ではありません)

(お客様談ですが、某高級輸入車SUVのボンネット角のちょっとした欠け傷を板金塗装した場合の見積が30万円ほどだったとか・・・多分ボンネット一枚ではなく隣接パネル(バンパー、フェンダーやへの色ぼかし)塗装が込みだからですが塗装は本来高いです。)

ボンネットと比べたらホイールは面積は小さいですが、平らに戻した延べ面積はそれなりにあり、形状も複雑かつ汚れもハード・・・そんなに安く良い塗装ができるうまい話は基本的に無いのです。


塗ってしまえば分からないので足付けしないでクリア塗装を全面塗装してしまうような業者も残念ながらいますが、後々とんでもないことになるので絶対にやめましょう・・・



※部分塗装には足付けが必要ないというわけではありません。塗装範囲がぼかす位置を含めて足付け範囲から出ないように考えてむしろテクニカルな足付けが必要です。


ホイール1/4~1/3周以上の点在する傷にはクリア塗装全面塗装のほうがきれいなのでこちらでおすすめすることが多いです。



下記、部分塗装と全面塗装のメリット、デメリットまとめです。


①カラー塗装部分塗装、クリア塗装部分塗装
【メリット】
・コスト面で有利
・全面塗装よりは時間がかからない
・小範囲でスポット補修が可能なので傷の無いオリジナルの塗装面をそのまま生かせる=うまくできれば光沢感を含めた見た目の違和感は出にくい

【デメリット】
・性質上塗装が薄い部分がある(足付けをしていれば実用上問題はないが厚い部に比べたらは弱い)
・広範囲の補修には向かない(ざらつき多発や見栄え的にもちょっと・・・)
・ぼかし際(クリア塗装の端っこの部分)が見えることがある
→若干艶が引けたり肌が荒れる部分。加熱乾燥後磨き処置である程度改善は可能

※艶消し塗装は基本的に一面塗りの塗装のため部分塗装はできません。



②カラー塗装部分塗装、クリア塗装全面塗装

【メリット】
・ある程度全体の膜厚を出しながらクリア塗装がされるので強度的に穴がない
・クリア塗装をすることによる艶感の改善
・ぼかし際が出ない


【デメリット】
・クリア塗装を全面にすることできれいになった感が出てしまう(元がきれいなら全く問題ないですが劣化が進んでいるホイールを1本だけ施工したりすると1本だけ妙にきれいと感じる可能性があります( ゚Д゚))

使用しているうちに小傷がついて馴染むとは思いますし、お客様からご指摘があったわけでもなく私個人的な感想です(汗)

・かかる時間、コスト面





どちらも一長一短ありますので使いどころ次第です!


その他使う材料、かける時間、車両の保管環境、お客様からの預り品や車に対する保険の有無(大多数は事業保険に入っていると思いますが無保険も聞いたことはあります)等でも変わってくるでしょうね。

当店の塗装リペア施工での施工での足付けや研磨等を除いた当店の施工で掛かる加熱乾燥、放熱時間の合計を記載します。常温から規定温度に昇温する時間は除きます

溶接代用素材パテ加熱乾燥(60℃40分)
放熱(常温に戻す時間)15~20分
2液硬化型プラサフ加熱乾燥(60℃40分)
放熱(常温に戻す時間)15~20分
カラー塗装後のクリアコーティング最終加熱乾燥(60℃60分)
放熱15~20分

合計 170分~180分=約3時間程度(加熱乾燥、放熱時間のみでです)
※上記時間は機械的に連続で必要な加熱と放熱を合算した時間となります。
実際には、車両からホイールを外す時間、ホイールを洗う時間、足付の時間、成型する時間、カラー塗装前足付けする時間、脱脂する時間、マスキングする時間、塗装する時間、クリア塗装後に磨く時間、車両に装着する時間が追加されます。


短時間で私が無理に仕上げようとすると
・加熱硬化時間の早い材料を使う(これは傷の場所と考え方によってはアリな気もしますが傾向としては高強度の素材や塗料ほど加熱硬化時間は長くなります)
・材料の加熱硬化時間を守らない(後から艶が引けたり凹んだり設定強度に達し   なかったり)
・足付けを気にしない
・脱脂もテキトー
・クリア塗装ぼかしても磨かない等

をしないと無理だなと感じます。



よって当店のホイールリペアの納期は中程度以上の損傷は基本的に1泊2日とさせていただいております(作業自体は遅くないので結果的に当日中に終わる場合はもちろんありますが、やり直しの時間やいろいろ加味していますので短納期を約束しての仕事はあまりいい結果に繋がるように思えません)

小規模な傷の場合はやり直し時間を計算した上でも当日納品が可能な場合がありますのでその場合はご案内しています。

単純に費用比較をするのではなく施工方法が同じ内容か?、仕上がり、どんな施工をするのか?どのくらい時間をかけるのか?にも目を配って頂けると店選びも面白いですよ~!(^^)!




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